バティックの花が咲く
37回 2005/5/17(Tue)

6月2日からの個展を前に実妹新作のコサージュも仕上がりました。今回は小振りの作品も展示販売いたします。
私達姉妹は制作に関してお互いに干渉しないし注文もつけないが「暗黙の約束事」です。
仕事の順序は、始に私がコサージュになることをイメージせずに抽象模様のバティックを制作。それを黙って妹に渡し妹も何も言わずに布を持ち帰ります。
お互い言葉を交わすのは出来たコサージュを前にした時で、その時点で私の染め色は妹の色彩感覚が生きたコサージュとして誕生します。この瞬間はワクワク気分で新鮮な目でコサージュを眺めます。
「葉っぱ用に今度はこんな色を染めようか?」と私が提案しようものなら「止めて〜!布の色を眺めながらイメージするのが楽しいの」と。
こんな具合にそれぞれが自由に仕事を進められるのは、同じ親の遺伝子を受け継いだ好ましい形の以心伝心と言うのでしょうね。
おまけですが、共に小さな布切れも捨てられない気性は似ています。





春は手品師 
36回 2005/5/6(Fri)

数年前の春、インドネシアの留学生の奥様と北大キャンバスを散歩中に、彼女は驚いたように言いました。
「枯れたと思っていた木は生きていたのね。手品みたい!」と。
春の芽吹きは摩訶不思議な手品を見るかの驚きを彼女に与えたようです。その驚きは「インドネシアの花々が年中咲き続ける」と、私が驚くのとは桁違いでしょうし、北国の私達が春を待つ喜びの感覚とも違うはずです。やはり手品としか言いようが無かったのでしょう。
彼女の言葉に私は新鮮な驚きを感じました。
「大丈夫!大丈夫!これからは日に日に暖かくなるのよ」
と言う私も、谷地の草花や木々も、動物や昆虫も春の到来を待ち焦がれていたのです。昨年秋の台風で痛められた木々も芽ぶきを始めました。テラスに花の種も蒔きました。
わ〜ッと大きな声を上げて背伸びをしたい春、到来です!




空を飛ぶ鯉のぼり
35回 2005/4/22(Fri)

都会の空に悠々と泳ぐ鯉のぼりの数がめっきり減りました。が、この時期になると思いだすのは、ある映画の画像です。
札幌のコマーシャルフィルム作家が十数年前に自主制作した映画「キャノピー」です。制作された方のお名前を思い出せないのです・・・・すみません。
その内容は、ある男性が北海道のある田舎で過去に引き戻され、現時代に帰えるには空を飛んで戻る方法しかない事を知ります。ある晩、彼は小学校に忍び込んでダンボール箱を盗みます。彼が盗んだのは・・・・・・部屋一杯に広がる鯉のぼり!鮮やか色の大量の鯉のぼりが画面にば〜ッと広がりその美しい映像に私の目は釘付けです!
その夜から、彼は魚の鯉のぼりを裂いて(二枚おろしの様に)は繋ぎ合わせてバラグライダーのパラシュート作りを始めます。このパラシュートをキャノピーというのです。
しかし、ロープがありません。
そこにあるお年寄りが登場。色とりどりの沢山の帯締めを放りだします。画面いっぱいに広がる帯締め!またまた何と美しい映像でしょう。
ついに鯉のぼりのキャノピーは完成して風をつかみ空を飛びます。不思議で綺麗な映像展開は心に残ります。
彼が過去に引き戻された訳と帯締めを出すお年よりとのからみがストーリーの骨組みだったように・・・思うのですが、映像の美しさが際立った印象深い映画でした。




赤い糸
34回 2005/4/12(Tue)

バティックと出会った赤い糸はいつから繋がっていたかしら?と、振り返る事があります。
最初の記憶は遥か・・・高校時代。部活動でロウケツ染めをした時に写真で更紗を知りましたが特別な印象はありません。次は母の着物の染め直し見本帳の更紗。これも色調は地味で魅力薄でした。
美大時代の東京で観た更紗は「アジアン・スーべニール・ショップ」の店内。精密な模様の中に異国の香りを始めて感じました。それが本物だったのか判別はつきませんでしが、学生の立場では高値の布で眺めるだけでした。
それから十数年後、インドネシア初訪問で更紗をバティックと呼ぶ事を初めて知り、本物のバティックに囲まれながら多彩なモチーフに血迷い、華やかなジャワバティックを始めて買うことが出来たのです。が、工房で働く女性達が芸術的な布とは縁遠そうな年配者の姿も深く印象に残りました。
それ以来20数年間、インドネシアの異文化に引かれて通いつめながら現地生活の中でいつしかバティックは暮らしの布として私の心の中に棲みついたのです。
5年前、バティック工房で技法を学んだ「時」今まで見ていた更紗やバティックというより、とても新しいバティックに出会ったという感覚は劇的でした。こうして赤い糸は延々と今に繋がっている不思議は、私の人生に様々な出会いと彩を添えてくれる魔法の華布でもあるのです。
画像:20数年前に始めて買ったバティックは鮮やか。今は控えめな色調に気品を感じています。




桜吹雪はいつ
33回 2005/4/1(Fri)

桜前線のニュースを聴くと日本は南北にひょろ〜ッと長い国なのを実感させる、4月の朝でした。
空はまるで雪の在庫整理をしているかのように雪景色に戻しました。積雪19センチ、気温2℃は確かに真冬ではないので
すが、ローカルの天気予報はまだ雪だるまのマークが付いています。オーバーコートを脱いで春の装いで寒そうに歩く人たちの心は春なのでしょうが、私はまだしっかりと冬支度で外出しています。
半年は雪の北海道、残りの半年に春・夏・秋がぎゅっと詰まっている季節のサイクルは重々知りながら、流石に今朝の雪は恨めしささえ感じました。
もう雪は飽きた!
お〜い! 春は何処まで来ているの?





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